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メルセデスベンツ500E。
一般的に500Eと呼称されるのは
1991年から1995年まで製造された
W124036型のことを言います。
最新式のEクラスに当てはめるのには
若干の違和感を感じるのは私だけでしょうか?

この500Eというクルマですが、
実は最近隠れたところで熱が急騰しているようです。
それは日本にある良質な500Eを
海外の自動車業者が買い漁っているのです。
なぜ今、500Eが注目されるのか?

500Eというクルマには様々な逸話が存在します。
なかでも一番人気なのが
「ポルシェが造ったメルセデス」というものです。
この500Eの生産にはメルセデスを始め、
ポルシェ社、ヴァイザッハ研究所、
AMGが当初参加していました。
そして、最終的には全生産台数10,479台のすべてが
ポルシェ社にて製造されたようです。

このクルマの素晴らしいところは
そのコンセプトが実にわかりやすいところにある
ということではないでしょうか?
つまり「速いクルマ」を作ることを考えた場合には
中くらいの大きさのボディに大きな排気量の
エンジンを積めば、そのバランスさえ考えれば、
当然速くなります。

日本車で考えると、トヨタのマークXに
レクサスLS600のエンジンを搭載すればやはり速くなるでしょう。
最近ではより小型のエンジンにターボなどを架装して
ビッグパワーを手に入れるという考えですが、
それは燃費合戦になっている現在の自動車業界の流れなのでしょうから、
少し考え方が歪曲していると思います。
しかし、当時のメルセデスを取り巻く世界には
そんな考え方はありません。製造に当たっても、
W124やR129という原価積算方式によって造られた
クオリティの大変高いクルマがベースにありましたから、
ある意味贅沢な造りだったのです。
そんなボディやエンジンの素材を一流品のみで製造された
メルセデスはこの時代が最後であり、
現在のメルセデスでは到底叶わないほどの剛性感を持っているのです。

さて、前述のように500Eはその素晴らしさを、
呑気な日本人は発見することができずに
外国の業者にドンドン引き取られています。
外国に出て行ったが最後、
もう二度とこんな素晴らしいクルマは
手に入れることは不可能でしょう。
いままでもこのフェイスブックで書いてきましたが、
この時代のメルセデスはきちんと整備をしてあげれば、
新車に近い状態に戻るのです。
現にヤナセが中古の190Eの部品を
すべて新品の純正部品にて仕上げました。
価格もそれなりになりますが、
やはりその乗り味は新車のようだそうです。

ここで賢明な方はお分かりのように、
この時代のメルセデスは手に入れて整備をすれば、
あなたが運転する体力のなくなるまで
元気に走ってくれるということです。
W124時代のメルセデスは本当に素晴らしく、
中でも500Eというクルマはその頂点に君臨しているクルマですし、
生産台数も極端に少なくて希少車だとも言えます。

このクルマを購入しようとして友人に相談したとします。
その方が500Eに乗ったことのない人の意見は却下しましょう。
もし乗ったことのある人でもキチンと整備を施して
500E本来の走りを体感した人でなければ、
その意見は参考にはなりません。
500Eの本来の姿を体感した人はきっと口を揃えて、
こう言うでしょう。
「あのクルマが人生で最高のクルマだ」とね。
最後になりますが、500Eは本当に素晴らしいクルマです。
クルマを作るという条件の中で
すべての項目が高次元で融合しているクルマなのです。

本当にもう2度と生産されない名車です。
この先、5年後には500Eを取り巻く環境はどうなっているのでしょうか?
燃費やハイブリッド、軽量化と似たようなデザインばかりのクルマが日本には溢れて、
500Eのようなクルマ本来の素晴らしさを持つクルマは
海外の本当のクルマ好きな人達のみが所有しているのかもしれません。
今、500Eが欲しいとか気になるというのであれば、さっさと買ってください。
それがきっとあなたの先々の後悔から身を守る唯一の手段だと思います。
そして、あなたはこの500Eによってクルマを運転することの楽しさや
当時のメルセデスベンツという会社のクルマつくりの素晴らしさに
触れることができ、感動することは間違いないでしょう。



廣川 俊憲 





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