耐久性と走行距離の関係について考える。
イメージと先入観の違いについて
たとえば1台のクルマを購入するときに
ある程度の走行距離は購入基準判断のひとつに
されることが多いと思いますが、
ここで国民性の違いとクルマの環境の違いについて
少し考えてみることにしました。
走行距離の判断の目安として
10万kmという区切り節目的な数字があります。
これ以下ならなんとなくイイけど
10万kmという区切りを越えちゃうと
ちょっと・・・という感じですね。
でも、124のようなかれこれ20年以上前の
スポーツ選手の場合どうなのでしょう?
10万km走行で月日20年というと
年間で約5,000km程度の走行です。
月に約400km程度の走行ならどうでしょうか。
土日が4回/月なので、
1回当たり100km。
お出かけならばそれは往復なので
片道50km相当です。
ちなみに大分市内の端から端まで走っても
軽く50kmは普通に越えます。
ということはそれ以上の距離を普通に走りますよね。
124などのドイツ車はガンガンに距離を走ることが前提の
高耐久性なるクルマなのですから、
距離は普通に伸びて当然。
逆にそれがクルマのコンディションにとっても
最高に良い保存状態の維持に繋がるのです。
ですから、10,000km〜 20,000km越/年間くらいになるでしょうか。
そうすると20年以上選手の124は
走行距離が20万km程度は適切な走行距離の範囲となります。
この10万km目安を基準にするのは国産車ベースの考え方だと思われます。
国産車の場合、製造コンセプトも企業の考え方もそこまで徹底的に走ることは
あまり考えていませんから、当然そうなるのでしょう。
でも、あなたが購入を検討している、
124のような剛性感の塊のようなドイツのクルマは
この製造段階と環境も含め全然コンセプトや考え方が違うのです。
ドイツ工業製品の本質部分、そこを深く理解しなければ、
124のような名車にはある意味乗れないのかもしれません。
本国ドイツではメルセデスの124ボディーとエンジンは、
徹底的に距離を走るタクシーに利用されることが前提でした。
ドイツのタクシーに使われるのはマニュアルミッションの
中間排気量2500cc程度のディーゼルエンジンが圧倒的に多いのですが、
124(のガソリンレシプロエンジン)は
普通に40万km~50万km〜60万kmは普通の感覚で日常で使われます。
そして、時期が来てそれを修理オーバーホールに出してから
再度日常の環境でタクシー環境として使い続けます。
その距離からまたまた次の目標、追加で40万km~50万kmを目指します。
そして、またまた再度修理フルOHをして追加で20万kmほど走ったら、
格安でリリース お金の無いこれからの若者達に車両を売却するそうなのです。
その若者もまたまた残り20万km〜40万kmを現役で使えるということらしいです。
合計平均で100万km〜124万kmくらいは当たり前の走行距離で考えておられるそうで、
そんなところがメルセデスの魅力なんだと認識しています。
距離を気にせずにいつまでも乗り続ける事が可能なんだと何かで読みました。
つまり、日本でいうところの
走行距離 20万kmくらいの距離は
この100万キロを普通に楽しめる
メルセデスの124にとっては序の口の序の口なんです。
普通に考えれば、まだ慣らし運転程度の
初歩の2万kmくらいしか使用していないという計算になります。
どうですか?124というクルマは本当に
底力の強いそして強い耐久性のある素晴らしいクルマなんです。
たしかに走行距離が数字的に短いということは
エンジン内部の燃焼時時間が少ないのですから、
各所の痛みは少ないでしょう。
でも、クルマは本来は動体保存が前提な構造なのです。
徹底的に走ることではじめて良い状態が
キープされてバランスの良さも保たれるんです。
ですから適度に走らせていたほうが
コンディションも程度も良いことが多いのです。
私の廻りのメルセデスの124やW463 GクラスG36Lは
いずれも年数に応じて適度に走ってきたクルマなのです。
果てしないほどの耐久性とポテンシャルを持った
この時代のメルセデスなのです。
個人でこれから一生乗るつもりなら、
エンジンOHついでにメーターの
カスタムモディファイも良いと思います。
0から考えて自分と走った距離を刻んで行くのも、
楽しいカーライフなのかもしれませんね。
廣川 俊憲